20020101

名護 生活守り、新基地建設と闘う

ヘリポート建設阻止協議会(命を守る会)
 金城 祐治 代表に聞く


 命を守る会は、名護市辺野古周辺の住民でつくる団体だ。
 会をつくって5年間、6人の仲間が亡くなった。私たちはこの遺志を引き継いで、新たに基地をつくらせないため、必死でがんばっている。
 名護に普天間代替基地をつくろうと、政府はサミットや振興策をエサにして、なりふりかまわぬことを行っている。残念ながら、振興策に飛びついている人もいるが、実にあさましいことだ。
 振興策というが、すでに名護では、筑波学園都市を参考に大学をつくり、また、国立高等専門学校をつくって、研究学園都市にしようとしている。また、金融特区の話もある。だが、大学建設だけで、その負債が250億円ある。維持費・管理費はどうするのか。
 政府や沖縄県、名護市は、「振興策は基地とリンクしていない」と言うが、基地としっかりリンクしている。札束で沖縄の人心をたぶらかして、国策である安保条約を確固たるものにしようという策略だ。
 名護市長は、「3工法8案」が提示された基地建設計画案のうち、リーフ(環礁)への建設案に落ち着けたいようだ。だが、環境アセスメントもあるし、地元も受け入れるとは言っていない。まして、市長に一任もしていない。
 それにしても、日本全体の平和にかかわることなのに、建設の是非や工法を地元に判断をゆだねるとは、とんでもない。彼らは「ゆだねる」といいつつ、住民に説明もしないし、会いもしない。抗議に行っても、知事も市長も出てこない。
 また、稲嶺知事の公約であった「15年期限」問題や「軍民共用」も、岸本名護市長が基地受け入れの際に提示した「7つの条件」(環境保護、15年使用期限など)も、何一つとしてクリアされていない。まったく冗談ではない。本来、彼らは市民の生命と財産を守るべきなのに、政治的駆け引きに終始している。
 新基地も、日本の税金でつくられるようだが、なぜこれほどまでに、日本は米国に追随しなければならないのか。
 私たちは、この地域に、あの悲惨な戦争につながる基地をつくらせてはならないとがんばっている。
 また、基地は汚染物質を垂れ流す。嘉手納基地では、ジェット燃料が漏れて、井戸から火が出たこともある。返還された恩納通信基地跡からは、猛毒のPCBが発見され、いまだに跡地利用のめどもたっていない。 昨年夏、北谷町で起きた暴行事件のように、人権問題もある。こうしたことを、国民一人ひとりに考えてもらいたい。
 すでに辺野古にはキャンプ・シュワブがあり、日常的に実弾演習などが行われている。さらに基地ができれば、私たちはどこに住めばよいのか。
 命を守る会の中心は、戦中戦後の激動の中で子どもたちを育ててきたおじいやおばあだ。
 日本は、平和によって経済大国になった。それをしっかりと、子々孫々にまでつなげていくのが努めだと思っている。日常的に、政府や県などの締め付けを感じる厳しい闘いだが、粘り強く、したたかにがんばりたい。