大隈議長・99年新春インタビュー (6)


党創立25周年の党の課題と抱負



 党創立二十五周年の年になります。この二十五年を振り返り、今後を展望し、新年に際しての課題や抱負などについてお聞かせください。

大隈議長 二十五年になりましたが、われわれのような政党は何年たてばこのくらい強くなるとはなかなかいかないんですね。なぜかというと、われわれの理論の本質からみまして、われわれがどの程度成功を収めるか、われわれの活動の場がどの程度広がるかは、基本的には社会の発展に依存しているわけですね。

 われわれは小さな勢力でありますが、何年も何年も生涯をかけて闘い続けている。これはですね、結局のところ、資本主義というこの社会が行き詰まる、この社会のもとでは、企業家たちがたくさんいて資本を持っている、生産のための手段を持っている、しかし彼らは自分で機械を動かしたり、働いているわけでは必ずしもない、結局彼らは無一文の働きに行かなければ飯が食えない人たちを前提にしてやっている。

 つまり、資本主義社会は必ず階級社会なんです。いくつかの利害が相異なる、あるいはモノをつくって人間は生活しているわけですが、そのモノの生産に当たってどんなふうにかかわるか、かかわり方の違いによって、したがって当然、分配も違うわけですから、生活諸条件に差があるわけです。資本主義諸国というのは、一億人いるから、あるいは十億人いるからといって、同じ生活集団ではなく、いくつかの生活の程度や、かかわり方によって違う集団があるわけですね。これを階級社会というわけですね。

 そして、この資本主義のしくみのもとでは、資本主義の経済自身が、今われわれが目前に見ているように非常に厳しい時期もあるし、緩やかな平和に発展する時期もあるわけですね。

 危機の時代には、今までの戦後の不景気の時期をみても分かりますが、危機の時代には真っ先に労働者は「すまんが辞めてくれ」と言われるわけですね。職安に並ぶことはできても、なかなか職がないこともある。今、何百万人も失業者がいます。アジアだけでも何千万人も失業者がいる。この現実があるわけです。ですから、この種のことが繰り返されるわけですね。そして資本主義が資本主義である限り、労働者階級にとってなかなか安心して暮らせる、平和なそういう時期はいわば永久にやってこないということですね。

 私は二十五年を振り返りながら、やはりわれわれが十分に発展できなかった条件には二つあると申し上げたい。

 一つは、資本主義の危機の深さが今ほどではなかったという問題、また、社会主義が大きな崩壊をして信用をなくしたということ、こうした社会の状況が一つあったということです。もちろん、われわれも結党初期は伸びましたよ。毎年、倍、倍と伸びた。しかし今いったようなことがあったということ、これは大事な問題です。

 もう一つは、二十五年もたちましたが、われわれは十分な経験を持たなかった。あるいは十分な国際的な経験と、われわれ自身の直接的な経験、これらを含む、共産主義者としての能力の点でやはり不十分さがあったと思うんです。

 この二つは、われわれが二十五年をへても今日の状況にあるということの、非常に大ざっぱな説明にはなるんだと思うんです。

 さてこれからですが、新年に当たって申し上げたいのは、「これからは違うぞ」ということです。資本主義は、今深刻な危機に当面しておる。また、資本主義一般ではなく、日本は米国に従属している点で、特別に危機が深くなる可能性がある。いや、避けがたい。

 米帝国主義、ドル支配が、まだしばらくこの状況を継続するにしても、支配を維持するために、激しく日本に迫ってくる。日本は容易ではない。だから労働者階級だけでなく、他の諸階層も深刻な危機にさらされる。倒産が激増するという現実をみれば、それは明らかです。したがって、われわれの活動する分野は大きく広がる。われわれの意見は人びとに受け入れやすくなる。

 社会主義が崩壊したしばらくの間は、「社会主義はうまくいかなかった。資本主義は豊かさをもたらしている」という印象が強かったんですが、それ以降は資本主義も深刻な危機を抱えていることが続いて、いよいよ行き詰まっている。ある意味で、社会主義を進めるわれわれのような政党が過去を深刻に総括する責任がある。そういう意味で、人びとはなかなか納得しにくい面もある。しかし、多くの人びとが持っている関心は、現実の深刻な危機にどう対処するかで、これがクローズアップされている。

 人びとは後ろ向きではなく、目前の敵と闘うんだと思うんです。それはもちろん、人びとが社会主義問題を気にしなくなったということを意味しません。けれども、危機に立ち向かうことが最も重要な課題なんですね。

 共産主義者は総括という意味で、過去のことにあれこれとふける余裕はないんです。そうではなくて、現実にこの危機にどう対処するのかをめぐって、正しい選択を提唱する。もし、過去を総括するなら、正しい選択を提唱するのに生かされてはじめて意味がある。大衆からみると過去ではなくて、いま当面する危機からどう脱却かでの、正しく問題を提起してくれる政党を望むんですね。

 過去の問題はそれを首尾よく闘うために活かされるべきです。

 積極的に闘うこと。積極的に当面する問題を提起し、どういう展望が描けるか、この点にかかると思います。

 私は新しい年に、年が変わっただけでなく、新しい課題が大衆の前に深刻に提起される、そういう意味で二十五周年、新しい年九九年を迎えている。これが最初に申し上げたいことです。

 これを首尾よく闘うためにどうするかですが、われわれは国内の現状、支配層のこの政治に立ち向かわなくては生きて行けない広範な大衆との結びつきを、これまでよりいっそう強調して、この道に沿って前進したい。とりわけ労働者階級、労働組合はもちろん、今は組織を持たないにしても多くの労働者ですね。ある意味で危機を一身に受けている、攻撃を一身に受けている、こういう人たちとの結びつきを重視したい。この道を前進したい。

 そういう意味で、職場にいる党員、地域で活動する党員も、中間機関から中央にいる党員も、自己点検を強め、改めて身を正したい。これが第一点です。

 次に、二十五年というのは、二十五歳年を取ったんですね。やっぱり激動するときには青年が大きな役割を演じる。この党には大量に青年を迎え入れるべきです。しかも労働者の青年を大量に迎え入れるべきです。もちろん、私は男女青年と申し上げたい。これが第二点目です。

 それから、日本は労働者が危機にさらされているだけではなく、中小零細業者や社会のさまざまな層が、あるいは保守派を支持してきたけっこうの企業家たちが、あるいは知識人など広い社会層がこの状況に立ち向かわなくてはならない、そういう情勢、構造になっている。外交問題などは、すぐれて社会の上層部も選択が迫られるわけですから。そういう流れの中でわれわれが敵と有効に闘って、国の進路を変えていくような、こういう大事業にわれわれも参加していこうとすれば、そういう人たちと連携するうえでさまざまな問題を処理する能力がなくてはならない。統一戦線政策ですね。この問題でわれわれはきっちりとした誤りのない道を選びたい。これが第三点目です。

 それからわれわれは大きな仕事をしようとする上で、この党は、まだ全国的な広がりという意味で十分な広がりを持っていない。今年以降は闘いが迫っているのだから、もう一度本格的に党の全国化について、きっちりとした目標を設定して進みたい。このことをわれわれが一歩一歩実現することになれば、われわれは一定のこれまで以上の役割を果たせる位置に立てますし、情勢も考慮すればとても大きな役割を演じることになれると思います。これが第四点目です。

 さて、もう一つ、第五点目です。今年は統一地方選挙が行われます。われわれはまだ全国政治、国政選挙に十分登場する力を単独では持たないでいる。早晩、国政を争う位置に立つことになると思いますが、新しい年は統一地方選挙の年なので、この問題で、もっと真剣に成果をあげるように闘っていきたいと思います。

 知事選挙は、前回と同じように神奈川と福岡で闘っていくことになると思う。神奈川はすでにそのことを昨年表明しています。福岡も早晩そうなろうと思う。また、各所の市区町村で候補者を公然・非公然はありますが、取り組んでおり、ぜひ成果を上げたい。

 先ほど、国政では早晩登場することになろうと申し上げたのですが、今日の小選挙区制度、さらにまた選挙制度を既存の政党がなれ合って支配層に有利なように変えようとしているわけですね。こういう流れの中で、われわれのような政党が国政選挙を闘うのはとても不利になっている。だから、こういう選挙制度を打ち破らなくてはならない、それは一つのわれわれの課題ですが、しかし、そうかといってこの状況で闘わない、闘えないというのも正しくないわけで、われわれは他の勢力とも連携して打開する道を探りたい。この問題は近々にいろいろな勢力に提唱してみたいと考えているところです。

 わが党としては心を新たに、二十五周年という節目でもありますが、新しい危機の深まり、別の角度からいいますと、われわれにとっての新しいチャンスに際して、全国の同志の皆さんに大胆に闘おうと呼びかけ、同時にこれまでおつき合い願っている支持者や友人の皆さんに相変わらない連携、ご支持をお願い申し上げたい。

 ありがとうございました。



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