98新春旗開き


大隈議長あいさつ(4)

展望、労働党の闘い


 最後に展望と労働党の闘いについて短く申し上げます。

 第一に、激動に備えなければなりません。

 冷戦後の今日、グローバル、ボーダーレスの時代だとか、大競争時代だとかさまざま宣伝されています。しかし、それぞれの国に利害の異なった集団がいる。つまり階級社会だという現実は冷戦以降もまったく変わっていない。一つの経済的変動、政治的事件がその国内に住むさまざまな利害集団に一様な影響を及ぼさないという現実がある。誰かはこの政治、経済を肯定をするでしょうが、別な人はこの政治、経済を拒否すると思います。そういうふうに利害が違う。階級社会である。

 また世界的規模でみると、大きな国もあれば小さな国もある。グローバルとかボーダーレスとかいっているが、依然として国民経済という形や、国家という形が残っている現実があります。そしてほとんどのことと国民生活は、国民経済しだいですし、国家がかかわっており、予算を分配して運営されている。そういうもので世界は成り立っている。

 大競争の時代とかいっておりますが、これは誰に都合のよい理屈なのか。自由に巨大企業がのたうちまわって世界で仕事をした結果として、皆が豊かになるというが、実際はそんなことはまったくない。のたうちまわる結果として、いたる所で破産が出て、人民は従来の生活を切り下げられ、苦しむ。

 だから、途中で申し上げたようにこの局面は、世界的な範囲でもわが国の範囲でも、いろいろな矛盾が緩和する方向ではなくて激化する方向にあるんだと思います。端的に言ってそれぞれの国、世界的規模でさまざまな乱れが出てくると思うんです。

 各国での階級闘争も、また、帝国主義とさまざまな勢力、民族や民族国家との闘いも緩和する方向にあるとは思えない。むしろ激化するだろう。

 これが私どもの状況認識であります。闘争が迫っているというふうに思います。従って、わが党は、「闘いに備える」ということに大きな努力をさきたい。これが一番目です。

 二番目。先にイデオロギー問題を申し上げましたが、この問題および理論闘争は極めて重要だと思います。

 この闘いでは知識人の役割がとても重要です。私はこの闘いへの知識人の広範な参加をお願いしたい。従来、人間の労働から知識が分離したといいますか、ある意味で働かないで知識だけに頼って、それが職業として飯が食えるように社会が発展して以降、知識人は結局のところ独立して飯を食える階級ではなかった。

 人民は働くことによって飯を食う、支配層はそれを収奪することによって飯を食う、知識人は間にあって社会的に有益な仕事の中で暮らしてきた。どちらかに身を寄せてきた。その意味で、独立した存在ではなかった。歴史の現実です。

 そして知識人が、人類史の発展で大きな役割を演じたことは現実です。その知識人の皆さんの多くは今日、先ほど申しましたように誰にとっての価値なのかというような点で、支配層の価値を理論づけ、あるいは自分の価値として世間に広めている。私たちにはそんなふうに映ります。もちろんそうでない人のことも承知しています。

 しかし、歴史の大きな激動期にはいつの時代でも、政府に反対し、支配層に反対する社会勢力が現れて、ときの知識人の一部が人民の側に立って、人民の考え方に大きな影響を及ぼし、闘いを激励したことがたびたびあったわけです。宗教だってあるときそういう役割を演じました。マルクスだってそういうこと。

 今日のような歴史的変動期にあって、社会的になにがしかの有益なことをやろうとする知識人が現れても不思議ではないと思います。現にこの大競争の時代、規制緩和等々という主張に対して、最近の商業新聞を見ていると、ときに異なった意見を出している知識人が若干おられます。「何もかもアメリカに従うことねえんじゃねえか。規制緩和、規制緩和なんていってもどうだろう」と。

 これらの知識人が、あるいはなにがしかの有益な役割を演じたいという知識人が文字どおり実りある、歴史に一定の役割を演じる、意義のある闘いをしようとするならば、私は労働者階級、人民の側に明確に意識して立つべきだと思います。

 今日の歴史的変動期に、広く国民の中で歴史の教えるところを広め、何が幻想で何が現実なのかという正しい観点を身につけさせていく、そういうことで闘いの一端を担っていただけるなら、こんなにありがたいことはないと思います。

 個々の部分からでもよいですし、体系立ててもよいと思いますが、出せる力を出すことを知識人の方々にも求めたい。われわれは、この問題にも真剣に取り組む時期に来ていると思います。

 三番目。私たちはさっきから申し上げたように大衆基盤のある広範な国民運動の形成を目指して、外交の問題でも内政でも積極的に闘いを組織したいと思います。

 今、沖縄の闘いが非常に重要な局面になっています。沖縄の人たちは、この間、代理署名についての大田さんの判断の問題、そして特措法などといくつも試練と曲折をへてきました。わが党はいつも申し上げるように、大きな闘いですから曲折は避けがたいということで、沖縄の人たちの闘いを信じ、具体的には全面的に支持して闘いながら、闘いの評価については、常に含みのある、ゆとりのある態度をとってまいりました。

 わが党はこれからもそうします。沖縄県民の闘いは、現在のわが国での闘いのなかでは、最も力強い部分です。この局面では、沖縄県民の闘いが、橋本政権、安保体制を揺さぶっている大きな力です。だから断固支持し、連帯して闘わねばならない。

 改革問題でも、広い戦線をめざします。この問題では労働組合も各種の業界も包含しての闘いをくみたいと思います。

 広範で大衆的基盤のある運動を組織しなければならないのですが、それを進めるにあたっては、闘いを求めるすべての政治党派に大胆な団結を呼びかけたい。また、どの党派がこの問題で呼びかけてもわが党は応ずるということをこの機会に申し上げたい。

 四番目。共産党問題では、わが党は理論的にも政治的にも徹底的に暴露し、闘います。大衆的で広範な国民運動を組織する上で、共産党問題が確かにあるし、ときに質問もされますが、理論的にも政治的にも闘いはますます重要になると思います。ただ、国民の運動の前進に彼らが極端な分裂主義を持ち込まなければ、共同面でわれわれは拒まない。これは申し上げておきたいと思います。

 最後に、わが党自身の問題です。

 理論面、結束、政治能力で優れた党の建設を進めているところでありますが、昨年からはとりわけ中央機関を急速にそういう方向で整理して、全党と当面する闘いでのさまざまな課題、これを解決したい。

 また、すべての党員、細胞、地方組織での大衆関係の強化にいっそう努力をしたい。

 また全国的な範囲での党組織の建設を再び精力的に始めたい。全国的な大きな国民運動、大きな統一戦線をつくる上で、わが党の組織が十分全国に広がっていない問題は、今日極めて重大な責任だからです。

 長時間お話しました。歴史的な大激動期にわが党は、皆さんと団結し、統一戦線と闘いを大きく前進させ、最終的な勝利に向かって、大きな前進をはかりたいと思います。

 どうもありがとうございました。


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