20010515・発言

小泉政権成立の事情と政局について(3)

目前の参議院選挙で社民党は支持しない

会議における大隈鉄二議長の発言



 しかしそれはともかく、いまの支配層が進めている、森もやり、考えてみると小泉がなったっても同じなんですね。鳩山たちは、小泉の改革は「生ぬるい」といっているわけだ。「小泉がやれるのか」と。あるいは「小泉が言っていることはわれわれ民主党の政策だ」と。こういっているわけで、だから鳩山も同じなんですよ。国民の多数が望んでいる政治とは全く違う。この政治にも、選挙にも期待することはない。
 しかし、七月の参議院選挙は、それぞれの政党にとっては、自分たちの議席が上がり下がりする、党の消長ですから、われわれとは見方が違って当然です。われわれは客観的に見れても、「そうは言ったって」ということで、それぞれの政党にとっては死活ですから、評価が違うんだと思います。
 そういう点からみると、この八〇%、小泉の登場で八〇%の支持の自民党政府ができたということは、野党にとっては大きな狂いだと思うんです。小沢にとっても誤算だったと思うんです。小泉選出の結果、自民党は変わらざるを得ないという意味もあるんだが、いわば、旧来の改革にどちらかというと消極的な、そしてそれがあるから「自民党じゃダメだ」と言ってきたような、その勢力が温存されて、小泉が出たことによって、改革が先延ばしになるというか、中途半端なものになるというか、そういう理屈も成り立つ。
 だから、小沢はそういう判断と、もう一つは自由党としての存在価値が、この局面では低下し、しばらく出番がなくなりかねない。参議院選挙で、もし自民党が予想以上に成績をあげる、つまり落ちることを前提に予想以上に、つまりあまり減らなかったとか、ひょっとしてひょっと八〇%というと増える可能性があるわけで、そうなると、小沢の出番はさしあたって、「次の局面に備えにゃならん」ということになるんだと思います。結局のところ、小沢の出番はまだ出てくるとは思うんだけれども。
 そして小泉内閣は、「本当にやれるのか」という問題に当面するわけで、本当にやろうとすれば、自民党はまた分裂の危機に見舞われる。その可能性を含んでいる。
 予想外の小泉の勝利で、さしあたって模様見以外にないというのが、小泉以外の自民党、つまり橋本派を中心とした、あるいは森派の中にもおろうが、そういう連中だと思うんです。亀井だってそうだと思う。とりあえずはこれで参院選を乗り切れると。そういう意味では、「悪いことばかりはないな」と理解して選挙での成果を望んでいるんだと思う。
 しかし野党は、手をなくしている。まあ、こんな状況だと思うんです。
 そこで、参院選の結果、自公保が崩れることは、私はないと思います。もちろん、保守党が消滅するかどうかという問題はあります。公明党の中にも、総裁選挙の途中だったんですが、「もういっそのこと一つの党としての政策を掲げる」というようなことまで出ていたわけですから、二大政党制の中での自公保のこの枠組みをかなり長期的に固めて、三党が一つの派閥のような流れにもっていくことを、おそらく橋本派、野中なんかはそう考えていたんだろうが。それらにどう響くか。
 民主党を巻き込んだ再編になると、それは政策を軸にした再編になるのだろうが、もう少し流動化も含めて、この問題はこの局面では片付かないと思います。そういう意味で、政策を軸にした政治の本当の再編は、ひょっとしたら延びたといえるのかもしれません。選挙の結果にもよるでしょうが。
 この中での自公保の消長にもよるでしょうが、自民党が一人勝ちすると、問題はもう少し変わるでしょう。自民党が一人勝ちしても、公明党は残るでしょうね。保守党は消えるかもしれない。こういう問題はあると思うんです。だから、参院選の結果で、自民党が大した敗北をしないとすれば、それ以前の状況、野党がいくつかあってというような、野党が手をなくしてというような状況ですね。その時に、民主党があんまり振るわなければ、民主党も分解する可能性があります。
 だから、勝っても負けても流動化は起きるにしても、自民党が勝ったときの方がどちらかといえば、流動化は少ないかもしれないですね。ただそれでも、小泉政治での改革の進行は保守政治の亀裂を生む、これは避けがたいと思います。これもまた引き金となり得る。
 まあ、そんな流れ。つまり、自民党が崩れるのか、民主党が崩れるのかという問題でしょう。これに、公明、社民の消長も考慮すると、二大政党制への流れはまだ枠組みは固まっていないか、後退することも含んで流動化すると思います。

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