沖縄など全国で基地強化の動きが進むなか、広島県呉市でも今年3月、防衛省が日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区(昨年9月閉鎖)の跡地を一括購入し「多機能な複合的防衛拠点」としたい意向を市や広島県に申し入れた。跡地面積は約130ヘクタールで、現在の海上自衛隊呉基地 ヘクタールの約1・5倍にもなる。

こうした動きに対し、「戦争準備として使われる」と住民の危機意識が高まり、市民有志による「日鉄呉跡地問題を考える会」が結成され、4月には400人が結集して集会が開催された。
そして9月21日、呉市で「知り・つながり・とめる 大軍拡と基地強化にNO! 西日本交流集会」が開催された。集会には全国各地で闘う団体・個人約100人が駆けつけ、またオンラインでも50人が参加した。
最初に、日鉄呉跡地問題を考える会の西岡由紀夫共同代表が呉で進む基地強化の実態と署名活動等の闘いの経過、市長、市議会の対応などについて報告した。
続いて「すべての基地にNO! ファイト神奈川」の木元茂夫さんが、日本を中心に進む基地強化について映像も交えて分かりやすく説明した。
また「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」の具志堅隆松共同代表は、沖縄県うるま市での自衛隊石川訓練場建設計画はなぜ撤回ができたのか、同じうるま市の勝連駐屯地へのミサイル発射車両の搬入はなぜ阻止できなかったのか、そうした闘いの経験を具体的に総括し、「一方は、基地の新設反対で地域住民が声を上げ、そこから超党派の生活環境保全運動へ発展させることができた。もう一方は、既存基地の利用拡大だった」とし、「自衛隊は専守防衛から敵を攻撃する部隊へ、自ら日中戦争を起こそうとする部隊に変わったことなどを広めることが重要だ」と、今後の指針を話した。
さらに「オスプレイストップ! 9条実施アクション佐賀」の豊島耕一代表、「大分敷戸ミサイル弾薬庫問題を考える市民の会」の池田年宏運営委員などが、大型ミサイル弾薬庫建設とミサイル特科団の配備が計画されている大分の現状について発言した。
会場には山口、愛媛、香川、神奈川、大阪、京都、鹿児島などで基地拡大と闘う人たちも参加した。また、関連行事として、呉フィールドワーク、岩国フィールドワーク、戦争止めよう全国連帯交流会などが 日まで開催された。
沖縄・奄美を中心に進む「戦争体制構築」は、西日本へと拡大され、軍事拠点とされようとしている。各地では地域住民の不安、反発の声が高まり、抗議集会や行動が行われているが、それは各地域内でしか報道もされず、個別の闘いを強いられている。
今回の集会は、西日本各地の団体が一堂に会し「今こそつながり合って、全体の状況を共有し、連帯して闘って、この戦争準備を止めよう!」との思いが確認された。