「日中不再戦 アジアの平和と共生をめざして」が11月2日、さいたま市で開かれ、約90人が参加した。個人加盟による実行委員会が主催した。
開会あいさつを行った橋本清一氏は、長く日中友好の運動を続けてきた経験をふまえて「ウクライナやガザの現状は、戦争の悲惨さを改めて示している。アジアで絶対に戦争を起こさせてはならない。昨年も講演会を行ったが、急速に変化する情勢への理解を深めたい」と述べた。

孫崎享・元外務省国際情報局局長(東アジア共同体研究所所長)が講演した。
孫崎氏は、国際政治構造が急速に変化していることを、購買力平価ベース国内総生産(GDP)や自然科学研究論文引用数の順位などを例に述べ、特徴として中国の台頭を強調した。
ウクライナ問題の時代背景説明に続き、孫崎氏は台湾問題に対して日本が取るべき態度に触れた。孫崎氏は、日中共同声明で「台湾は中国の不可分の一部」という「一つの中国」の立場を認めたのは、日本による侵略戦争と植民地支配に対する「責任を痛感し、深く反省する」としたことと結びついたものであることを強調した。
孫崎氏は最後に「台湾が独立の動きを行わなければ、中国の軍事侵攻はない。日中共同声明や日中平和友好条約を守り、日本は中国と軍事的衝突を行わないようにしなければならない」とまとめた。
質疑応答では、「米国の危険な策動を促しているのは誰なのか」などの質問が出された。孫崎氏は、総選挙での自民党大敗に至る国民世論の急速な変化に触れ、「平和のための運動には展望がある」と力説、参加者を励ました。
最後に、平和運動を進めている金子彰氏があいさつした。金子氏は「マスコミの宣伝もあり、労働組合でさえ中国に対する見解は厳しい。だが、国は引っ越すことができず、問題は外交で解決する以外にない」と、参加者に行動を呼びかけた。
「日中不再戦」の世論形成に向け、意義ある取り組みとなった。