中国で9月3日、「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年記念式典」が行われた。朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)、ロシア、ベトナム、イランなど26カ国の国家元首級、韓国、ブラジルなど9カ国の高位政府代表、東南アジア諸国連合(ASEAN)など7つの組織代表などが列席した。一方、前回は日本を除いて参加したG7諸国は欠席した。
この式典をめぐり、わが国マスコミは悪罵の限りを尽くしている。ロシアの参加などを取り上げて「世界をさらに不安定化させるだけ」(読売)と、中国敵視の世論をあおり立てている。中国・ロシア・朝鮮・イランを「動乱の枢軸」などと呼ぶ者までいる。
だが、世界の「不安定化」の元凶は何か。
中国の一部である台湾を独立国のように扱い、「台湾有事」をあおっているのは誰か。長年にわたって朝鮮を包囲し、無慈悲な制裁を課しているのは誰か。パレスチナ・ガザで虐殺を続け、イランやカタールにまで攻撃を仕掛けるイスラエルを、徹底的に擁護しているのは誰か。すべて米帝国主義である。ウクライナ戦争も、米国が北大西洋条約機構(NATO)拡大などで干渉してきた経過があり、ロシアだけを非難できないことは明白である。
米国は戦後、覇権を守るために戦争を繰り返してきたが、疲弊し、衰退し、国際政治での指導力も地に落ちた。内政でも、一握りの金融独占資本、巨大テック企業のための政治が天文学的な「格差」をつくり出し、国民の怒りと反撃を招いている。
だが、米支配層は覇権国の再生を目指して、悪あがきをしている。世界のリスク、不安定性、動乱、世界戦争の危険性の増大は、資本主義の行き詰まりを背景とする、米国中心の帝国主義体制の疲弊と悪あがきにある。
第2次世界大戦後につくられた米国中心の国際政治経済秩序は、今や歴史的限界にきた。
反対に、帝国主義に収奪・搾取、抑圧、内政干渉されてきた発展途上国、グローバルサウスが力をつけ、自らの利益を守るために立ち上がっている。世界はもはや、米国の指揮棒通りには動かなくなった。
今式典に多くのグローバルサウス首脳が参加したのは、世界に戦争の足音が響くもとで、自国の運命を平和的に切り開くことを望んだからであろう。グローバルサウスが一堂に集まり、励まし合うのは当然ではなかろうか。
台頭する中国は、グローバルサウスの中心国となっている。
中国は、米国中心の戦後秩序を自国主導で「つくり替える」ことは意図しておらず、「平等な多極世界」を目指している。習近平主席は今式典で、「すべての国家、すべての民族が平等に接し、調和して共存し、互いに助け合うことによってのみ、共通の安全を維持し、戦争の根源をなくし、歴史の悲劇を繰り返さないようにすることができる」と演説した。
帝国主義の植民地支配に苦しめられてきた諸国・人民が、中国の将来展望に共感を感じるのは当然であろう。
グローバルサウス諸国は今式典を、「常に主権を守り、保全しなければならないというメッセージを引き出す式典として評価する」(アンワル・イブラヒム・マレーシア首相)、「歴史的な友情と記憶の集い」(カドガ・オリ・ネパール首相=当時)、「平和、持続可能な発展、繁栄のための友好かつ建設的な対話を再確認した」(ミルジヨエフ・ウズベキスタン大統領)などと評価した。
わが国マスコミなどによる式典への非難はこうした世界の声を無視し、「不安定化」の元凶が米帝国主義にあることを隠し、責任を中国に転嫁するものである。
逆に言えば、自らの世界支配が崩壊することを恐れる米国など帝国主義者が、この式典を必死に批判するのもまた、当然のことである。
わが国は過去の侵略と植民地支配を真剣に反省し、中国をはじめグローバルサウスと連携すべきである。だが石破政権は、今式典に参加しないよう、各国に働きかけた。時代の趨勢(すうせい)に逆らい、「歴史に無反省」と言われても仕方がない。
式典を前後して、上海協力機構(SCO)やBRICS首脳会議も行われた。
SCOは10カ国体制となり、世界最大の地域機構に成長した。今回はオブザーバー含め26カ国が参加、「SCO開発銀行」の早期設立や、加盟国への20億元(約400億円)の無償援助が打ち出された。
一連の会議・イベントは、世界がグローバルサウス中心の秩序へと移行したことを端的に示している。
世界は激変している。国のかじ取りの軸を、「日米基軸」から中国をはじめとするアジア諸国との平和と共生に移さなければならない。
独立・自主の進路を打ち立ててこそ、わが国は国際社会で存続できる。