トピックス

世界・日本のできごと(7/1〜7/7)

世界のできごと

英総選挙、保守党政権に「ノー」、14年ぶり政権交代
 英国で7月4日、下院(定数650)の総選挙が投開票された。最大野党・労働党は412議席(211増)と単独過半数を獲得し、14年ぶりに政権を奪還、スターマー党首が翌日首相に就任した。保守党は121議席(251減)と歴史的な大敗を喫した。
 2008年のリーマン・ショック以降、米日欧の政府は金融緩和と財政出動で大銀行や大企業、資産家の懐を肥やす一方、土地や物価の上昇などによる苦しい生活を強いられ国民大多数は拡大する格差に不満を募らせていた。こうした不満の現れとなった欧州連合(EU)からの離脱も国民経済を悪化させた。コロナ禍と昨今のインフレは危機を深めた。今回の選挙で、右派も左派も、公的医療の充実など、総じて国民生活を守る財政出動を求めた。
 小選挙区制のため得票率は議席数に直結せず、労働党の得票率は33.7%と2019年の前回総選挙に比べて1.6ポイント増、保守党は23.7%と19.9ポイント減で、二大政党の合計得票率は57.4%にとどまった。右派政党「リフォームUK」は5議席(4増)ながら得票率は14.3%で12.3ポイント増と最も伸びた。
 今回の選挙は、「労働党が支持された」というより、国民の怒り・不満によって保守党政権が倒された選挙となった。
(参考記事)

仏総選挙で与党大敗、国民生活悪化に審判下る
 フランスの国民議会(下院、定数577)選挙の決選投票の投開票が7月7日に行われ、左派4党による「新人民戦線」が182議席で最大勢力となった。マクロン大統領の与党連合は第2位に転落、アタル首相が辞意を表明した。6月30日の第1回投票で1位だった極右・国民連合は第3位にとどまった。
 国民連合が第一党となるかが焦点となったが、多くの選挙区で候補者が一本化され、極右内閣誕生は阻止された。だが与党に厳しい審判が下ったことは変わらず、マクロン大統領の政権運営は一層困難となる。
 2014年から閣僚を、2017年から大統領を務めるマクロン政権下では、緊縮財政や規制緩和が推し進められ、2018年には燃料税と自動車税の引き下げや農村部の行政サービス改善などを求めマクロン政権の退陣を訴える「黄色いベスト運動」が、2023年には年金改革に反対する労組など広範な運動がも全国的に発展した。
 新人民戦線や国民連合が支持を伸ばした背景には、マクロン政権下で強まった国民生活・国民経済の悪化への不満があり、英国の総選挙に続き、国民の審判が下された格好だ。
(参考記事)

SCOさらに拡大、米欧の国際的影響力また低下
 カザフスタンの首都アスタナで開催されていた地域協力組織・上海協力機構(SCO)の首脳会議は7月4日、共同宣言を採択し閉幕した。2001年に設立されたSCOには、中国とロシア、中央アジア4カ国とインド、パキスタンに加え、23年にイラン、今回はベラルーシが加盟するなど拡大している。
 会議では、「国際社会は多極化に向かっており、新しい国際政治・経済を構築する上で、より大きな役割を果たすべき」などとする共同宣言をはじめ、25の文書が採択され、影響力拡大と結束強化が確認された。
 米欧やG7の国際社会への影響力がさらに相対化された形だ。
(参考記事)

人民のたたかい

 英国のスターマー新政権が発足した翌日の7月6日、首都ロンドンでイスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への軍事侵攻に抗議し、即時停戦を求めるよう新政権に求めるデモ行進が行われた。主催者である労働組合会議のアスクウィス氏は「ガザの子どもたちが毎晩悪夢を見ている最中に英国の新議員が静かに休むようなことがあってはならない。英国がジェノサイドの共犯者になることをやめるまで、あらゆる形で新政権や新議会に圧力をかけていく」と述べた。

日本のできごと

都知事選、既成政党不信の高まり反映
 東京都知事選が7月7日投開票された。現職の小池百合子氏が3選した。同氏は291万8015票(得票率42.8%)を得たが、前回より74万3356票減らし、得票率も17ポイント下がった。2期の都政が信任されたとは言えない結果となった。
 立憲民主党や共産党が支援した元参議院議員の蓮舫氏は128万3262票(得票率18.8%)にとどまり、元広島県安芸高田市長の石丸伸二氏に次ぐ3位と大敗した。立民は4月の衆院3補欠選挙など各種選挙で連勝、出馬表明前日の静岡県知事選と東京都議補選(目黒選挙区)でも立民が推す候補が勝利していた。勢いを都知事選につなげる思惑だったが、政策的対抗軸がつくれず、「与野党対決」の構図となることを回避した小池氏に逃げ切られた。
 都知事選挙と合わせて行われた都議会議員の9選挙区での補欠選挙で、自民は8つの選挙区で候補者を擁立したが、選挙前の5議席を下回る2議席の獲得にとどまった。これまでの地方選で示された国民の自民党への不満や怒りがここでも示され、惨敗した。
 56人の候補者が乱立し、「掲示板ジャック」などが話題となったことも手伝い、投票率60.6%と前回を5.6ポイント上回った。だが「政治屋の一掃」などを掲げて石丸氏が約166万票を得た今回の選挙は、政治不信、とりわけ既成政党への不信がかつてなく高まっていることを如実に示す結果となった。
(参考記事)
(参考記事)

不妊手術強制に国の賠償責任判断
 旧優生保護法による不妊手術を強制された被害者が国を相手取り損害賠償を求めていた裁判の上告審で、最高裁大法廷は7月3日、旧法と手術は憲法13条(個人の尊重)と14条(法の下の平等)に違反するとして、国に賠償責任があるとする統一判断を示した。下級審で判断が分かれていた、手術から20年を過ぎると被害者の賠償請求権が消滅する除斥期間の適用について、「到底容認することはできない」「国の損害賠償責任を免れることは、著しく正義・公平の理念に反する」とし、当事者の主張がなくても除斥期間を適用する最高裁判例を変更した。
 国には、最高裁判決を真摯(しんし)に受け止め、早急な被害全体の調査と全ての被害者への謝罪、救済措置が求められてる。
(参考記事)
(参考記事)

企業倒産、10年ぶり高水準、物価高・人手不足が重し
 東京商工リサーチは7月5日、2024年上期(1〜6月)の倒産件数産(負債1000万円以上)は前年同期比21.9%増の4931件だったと発表した。2014年以来10年ぶりの高水準で、上期の倒産件数は3年連続で前年同期を上回った。従業員10人未満の企業の倒産は全体の約9割を占め、特に5人未満の企業が3708件と多かった。
 全体の倒産件数のうち、コスト上昇を十分に価格転嫁できない「物価高」倒産は23.4%増の374件。建設業や運輸業など下請け企業の多い産業を中心に増加した。求人難や人件費高騰などによる人手不足関連倒産は2.1倍の145件に急増した。
 商工リサーチは「年間1万件を視野に、今後も倒産は増加傾向をたどる」とみている。

5月消費支出、2カ月ぶりマイナス、食費など切り詰め続く
 総務省は7月5日、5月の家計調査を発表した。1世帯(2人以上)当たりの消費支出は29万328円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比1.8%減少した。3月まで13カ月連続でマイナスとなっていたが、4月はプラスに転じていた。だが1カ月でマイナスに戻る形となり、物価高で食料などの支出を削る傾向は続いていることが示された。

トヨタ系で下請法違反、金型保管を強要、不当な返品
 公正取引委員会は7月5日、自動車部品の製造に使用する金型を下請け業者に無償で保管させたなどとして、下請法違反でトヨタ自動車の子会社・トヨタカスタマイジング&ディベロップメントに保管料相当分の支払いや再発防止などを勧告した。
 公取委によると、トヨタ側は遅くとも2022年7月以降、長期間にわたって発注していないにもかかわらず、車のバンパーの金型など計664個を下請け49社に無償で保管させていた。下請け業者側の損害は合計で数千万円に上る可能性があるという。
 また、2022年7月〜2024年3月の間、納品時に品質検査を実施していないにもかかわらず、不良品だったとして65業者に計2604点を不当に返品しており、返品された製品の代金など被害額は計約5400万円に。
 金型などの保管と返品被害が重複していたケースもあり、業者数は全体で95社に上っている。
 大企業の横暴を許さず、取引の公正化を実現する闘いは重要性を増している。
(参考記事)

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