世界のできごと
韓国で45年ぶり戒厳令、政権は「死に体」に
韓国の尹錫悦大統領は12月3日、「非常戒厳(戒厳令)」発令を宣言した。韓国での戒厳令発令は1980年の「光州事件」以来ほぼ45年ぶりで、1987年の「民主化宣言」以来初めて。国民の猛反撃の声により、戒厳令は4日未明に国会決議が可決されたことにより解除された。
この「軍事クーデター」失敗で尹政権は事実上崩壊、米国が中朝対抗のために強化してきた米日韓同盟にも大きな打撃となった。
【韓国】尹大統領の戒厳令を打ち砕く 韓国人民の闘いを断固支持する
仏で内閣総辞職、独でも連立政権崩壊
フランス国民議会(下院、定数577)で12月4日、バルニエ内閣に対する不信任決議案が賛成多数で決議され、内閣はわずか約2カ月半で総辞職が決まった。仏下院での内閣不信任は62年ぶり。緊縮型の2025年度(2025年1〜12月)予算案に野党が反発、最大会派である左派連合の新人民戦線(NFP)が提出した不信任案に極右の国民連合(RN)が同調し、賛成票が過半となった。バルニエ首相を任命したマクロン大統領にとっても打撃は大きく、求心力の低下は避けられない。
欧州連合(EU)では、ドイツのショルツ首相が財政出動に関する対立から11月6日に自由民主党(FDP)のリントナー財務相を解任して連立政権が崩壊、来年2月に総選挙が実施される見込み。
物価高騰や「ウクライナ支援疲れ」によって欧州各国で国民生活が悪化、EUの2本柱である独仏でも政権が崩壊寸前に陥っている。
ウクライナ、米英製長距離ミサイルを初使用
ロシア国防省は11月19日、ウクライナ軍がロシア西部ブリャンスク州の軍事施設を米国製の長距離地対地ミサイル「ATACMS」で攻撃したと発表した。17日には米紙ワシントン・ポストが「バイデン大統領がウクライナに長距離ミサイルでのロシア領内に対する使用を容認した」と報じていた。
また英主要各紙は11月20日、ウクライナ軍が英国製長距離巡航ミサイル・ストームシャドーを初めてロシア領に撃ち込んだと伝えた。
これらに対し、ロシアのプーチン大統領は11月21日、ウクライナ東部ドニプロに向けて新型の極超音速中距離弾道ミサイル・オレシニクを初めて使用したと発表した。プーチン氏は米英の長距離ミサイルへが撃ち込まれたことへの対抗措置だとした。
さらに米紙ワシントン・ポストは11月19日、米バイデン政権が対人地雷配備を制限してきた方針を転換してウクライナへの提供を承認したも報じた。
米英は、ウクライナ支援に消極的な2025年1月にトランプ政権が発足する前に軍事支援を強めて有利な戦況をつくり出ことを狙っているが、その思惑が戦争をいっそう激化、凄惨なものとしている。
ICCがイスラエル首相に逮捕状、米欧は二重基準
国際刑事裁判所(ICC)は11月21日、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント前国防相に逮捕状を発行した。パレスチナ・ガザ地区での紛争にかかわる「人道に対する罪」と「戦争犯罪」の容疑。これに対し、ICC未加入でイスラエルの後ろ盾となっている米国は猛反発、ICC加入国のドイツやフランスも逮捕状執行に慎重・否定的な姿勢を示している。
米欧は、10月にロシアのプーチン大統領がモンゴルを訪問した際、「ICCから逮捕状が出されているプーチン大統領を逮捕しないのは締約国の義務違反」とモンゴルを批判している。米欧のイスラエル肩入れは明白な二重基準だ。
シリアで政権崩壊、中東にさらなる戦禍
中東のシリアで12月8日、アサド大統領が国外に脱出、アサド政権が崩壊した。政権を打倒した反政府勢力の主力となったイスラム主義組織・シャーム解放機構(HTS)のもとで暫定政権が発足した。
これまでロシアやレバノンのイスラム教シーア派組織・ヒズボラがアサド政権を支援してきたが、ロシアはウクライナ、ヒズボラはイスラエルとの戦闘が続き、アサド政権への支援が手薄になっていた。
またこの機会に乗じ、イスラエル軍は占領地ゴラン高原でシリアとの間の緩衝地帯(1973年の第4次中東戦争後の停戦協定で設置)を超えて進軍、またシリア各地の軍事施設や兵器製造施設を空爆するなどした。
シリアでは、2011年から始まった「アラブの春」に乗じて米国が反政府軍を支援、ロシアと関係が深いアサド政権の転覆をもくろんだ。内戦には、2003年から侵略したイラクの旧政府関係者なども加わるイスラム国(ISIL)も加わり、シリアでは地獄の内戦が続き、1000万人以上が難民化している。
米国が持ち込んだ対立と戦争が再燃、中東にさらなる戦禍を引き起こしている。
COP29、気候資金で合意、途上国は「先進国は責任放棄」
アゼルバイジャンのバクーで開かれていた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が11月24日に閉幕した。途上国の温暖化対策の資金調達が焦点となった今回の会合では、
先進国から途上国への資金支援で2035年までに少なくとも年間3000億ドル(約46兆円)と、現状の1000億ドルの3倍に増やすことで合意した。しかし1兆3000億ドルの資金を要求してきた途上国側からは「全く不十分」「先進国は歴史的責任を放棄した」との厳しい批判が出された。
また3000億ドルの目標の中に民間資金が含まれていることについても、「富裕国の歴史的責任という考えを葬り、債務をつくり出す民間資金を推進している」などの批判が続出した。
人民のたたかい
韓国の民主労総は12月4日、「尹政権退陣時まで無期限ゼネストに突入する」と表明、金属労組や全国鉄道労組などがストを開始した。またソウルでは退陣を促すろうそく集会が連日行われた。
フランスでバルニエ内閣の総辞職が決定した翌日の12月5日、全国でマクロン大統領の辞任と公共福祉の回復を求めるデモが行われた。左派連合・新人民戦線(NFP)の第1党「服従しないフランス」と複数の労働組合が呼びかけ、約20万人が参加した。
スペインの東部バレンシア自治州で12月9日、200人超が死亡した記録的水害被害への州政府の対応を批判、州首相に辞任を要求する大規模デモが行われた。約13万人が参加した。また12日には全国で学生がストライキが実施した。ストを呼び掛けた学生組織・学生組合は、被災者が必要としている医療や食料を無償で提供することを中央政府に要求、そのための財源として、富裕層、銀行、大企業への課税による資金調達に踏み切るべきだと主張した。
ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の工場で12月2日、大規模なリストラ計画の撤回を求める警告ストが始まった。VWと交渉している金属労組(IGメタル)によると、警告ストに入ったのは国内10工場中9工場で6万6000人が参加した。
ニュージーランドの首都ウェリントンで11月19日、先住民マオリの権利を事実上骨抜きにする内容の法案に反対する大規模デモが行われた。支援者を含め計4万2000人が参加、国会会議事堂前で「法案を葬れ」と気勢を上げた。
国連が定める「女性に対する暴力撤廃の国際デー」の11月25日、世界各地で集会やデモが行われた。アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでは、昨年末に発足したミレイ政権が「女性・ジェンダー・多様性省」を廃止したことに抗議、数千人が大統領府前まで行進した。
日本のできごと
臨時国会開会、少数与党の苦境反映
第216臨時国会が11月28日、開会した。会期は12月21日までの24日間。石破首相は29日に所信表明演説を行い、政権が取り組む重要な政策課題の最初に首脳外交や安全保障政策を挙げた。少数与党として内政での政策実現に難しい舵(かじ)取りが迫られている中、外交で点数を稼(かせ)ぎたい首相の本音が透けた演説となった。
また石破政権は22日の臨時閣議で、物価高対策や国内投資の促進策などを盛り込んだ総合経済対策を決定した。2024年度補正予算案に一般会計で13兆9000億円を計上する。自民、公明、国民民主の3党による政策協議を経て取りまとめられ、国民民主党が少数与党を補完する役割を強めた形となった。
日中首脳会談、「戦略的互恵関係」確認
石破茂首相と中国の習近平国家主席は11月15日、訪問先のペルーで会談した。石破首相が就任後、習氏に会うのは初めて。両首脳は、日中両国が共通の利益を追求する「戦略的互恵関係」に基づき包括的に協力することで合意、首脳を含むハイレベルの対話と往来の推進でも合意した。
会談を受け、中国は22日、日本人が中国を訪れる際に短期滞在のビザを免除する措置を30日から実施すると発表した。ビザが免除されるのは2020年3月以来。
日中両国とも、来年1月の「米国第一」のトランプ米政権発足によって自国に圧力・要求が強まることが予想されており、関係改善を急いだ形だ。
横須賀拠点の米空母打撃群、最新鋭化
米海軍の原子力空母ジョージ・ワシントン11月22日、米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に新たに配備された。5月に横須賀を出港したロナルド・レーガンの後継で、9年半ぶり2度目の配備。また同空母艦載機として、新たに最新鋭のF35Cステルス戦闘機14機を岩国基地(山口県岩国市)に配備するなど、空母打撃群を構成する空母艦載機やイージス艦の最新鋭化も進められた。
米国は、中国を念頭に軍事強化をすすめているが、東アジアの軍事的緊張を高める危険な動きだ。
10月消費者物価が38カ月連続増、米類は過去最大上昇率
総務省は11月22日、10月の全国消費者物価指数(2020年=100)を発表した。価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が108.8と、前年同月比2.3%上昇、38カ月連続のプラスとなった。生鮮食品を除く食料は3.8%上昇と3カ月連続でプラス幅が拡大した。このうち米類の上昇率は58.9%と過去最大の上昇率を記録した。また果実ジュースはオレンジの主要原産国ブラジルや米国の不作が響き29.8%上がった。
また、総務省は12月6日、10月の家計調査を発表した。1世帯(2人以上)当たりの消費支出は30万5819円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比1.3%減少、マイナスは3カ月連続となった。食料は0.8%減で3カ月ぶりのマイナスに。うち肉類が4.6%減で、低価格の鶏肉の消費が増えた一方、価格の高い牛肉や豚肉は減少した。価格高騰が続く米は6.4%減と2カ月連続でマイナスに。
食料高騰が続くなかで食料の買い控えが続いており、国民生活は悪化の一途だ。